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新着情報

当研究室について

2022年4月スタートのバイオインフォマティクス系の研究室です。主宰者(門田幸二)は、東京大学 大学院農学生命科学研究科 アグリバイオインフォマティクス教育研究ユニットの業務(特に講義やその補助)がメインです。日本では相当レアな教育系バイオインフォマティシャンであり、他の一般的な研究室とは事情が大きく異なる点を予めご承知おきください。また、学生の受け入れ枠もかなり制限しています(概ね1学年1名)。当研究室を志望する方は、予め研究テーマをよくご確認の上で、私()にコンタクトをとっていただけるようお願い申し上げます。大学院の受験は、以下の2つの選択肢(ルート)があります。

研究室の場所は、アグリバイオインフォマティクス教育研究ユニット事務局と同じです。学生用の机はおそらくここになりますが、平日のコアタイムなどは一切設けない予定です。効率的に研究を進められるのであれば在宅で全く問題ありません。やりとりはSlackが中心となりますので、バーチャルな研究室というイメージを持っていただければと思います。早め早めで行動し、レスポンスが早いヒトは私と合うと思います。例えば、どうにもならないレベルの修論要旨を締切直前に提出するような感性の方は私とは合いません。しかし、たとえボロボロのレベルであったとしても、例えば締め切りの1か月前とかに見せていただければ、どこがダメでどのように修正すべきかを指導するゆとりと時間が持てます(これが早め早めで行動の具体例)。そして、その結果を受けて速やかに対応できれば、やりとりのピンポンが成立します。結果として、締め切りまでにはクオリティをしっかり上げることができます(これがレスポンスが早いヒトの具体例)。

メンバー

共同研究者

  • 近畿大学医学部 青木 智子

研究テーマ

トランスクリプトーム解析手法の開発がメインではありますが、バイオインフォマティクス分野の研究全般を取り扱います。アルゴリズムやGUI開発などのIT上級者向けの研究テーマから、わからないヒトの気持ちに寄り添ったデータ解析ガイドラインの構築まで、寄せられるニーズや学生のスキルに応じた多様な研究を行います。革新的な実験技術やAIの進展を意識しつつ、実際に役立つソフトウェア開発を目指す独創的な研究スタイルを志向しています。

1. トランスクリプトーム解析手法開発

基本的には統計などがそこそこ得意なヒト向け。基本的にはアルゴリズム開発系という理解でよいですが、「そうか、そういう手があったか!」と膝を叩くような手法の開発を目指します。がむしゃらに頑張るというよりは、優雅にお散歩しながらアイデア勝負で勝ちにいく研究スタンスを志向しています(私は今までそうやって生き残ってきました)。直近の科研費の研究課題(RNA-seqデータの発現変動解析を遺伝子クラスタリングで行う)が、「一歩引いて全貌を見渡し、ベーシックな方法の転用で急所を突く」私の研究スタンスを体現しています。私自身、難しいアルゴリズムの詳細はよくわかりません。しかし、例えば既存プログラム(Rパッケージ)の入出力の関係性、得られる出力情報の意味や他のパッケージにどのように転用するかといった使い方さえある程度習得していれば、アルゴリズムの論文でも書けます。原著論文をそれなりに理解できて、Rパッケージのマニュアルを読めて使えて、閃く心のゆとりをもっていらっしゃるような方に向いているテーマです。Makino et al., 2023Osabe et al., 2021のような論文化を目指します。

2. RパッケージやGUIなどオミックス解析全般のソフトウェア開発

情報系のヒト向け。例えば生物のことはよくわからないが、IT系に就職予定などスキルアップを兼ねたテーマを希望する方向けです。TCC-GUI(Su et al., 2019)やTCC(Sun et al., 2013)のような論文化を目指します。

3. ゲノム・トランスクリプトーム解析周辺のデータ解析ガイドラインの構築

情報系と生物系の中間のヒト向け。テーマ1と類似していますが、アルゴリズム開発系というよりは使いこなし系に近いテーマです。例えばOsabe et al., 2019Tang et al., 2015のような様々なRパッケージの性能評価系(手法比較系)の研究という方向性もあると思います。

4. 日本全体の研究力向上に寄与する教材開発

かなり生物寄りのバックグラウンドを持つヒト向け。1つのRパッケージを徹底的に調べ上げて使用例などをまとめる教材開発系もアリだと思います。Rパッケージを開発してBioconductorGitHubに置いて使えるようにしたという論文は数多くあります。しかしながら、多くの実験系研究者にとってはその使いこなしが大きなハードルです。多くの生物系のヒトは、わからないヒトの気持ちに寄り添えます。例えば、農学生命科学研究科内で行われている研究に役立ちそうなRパッケージを探し出し、いくつかの解析例を丁寧にまとめたものを(Rで)塩基配列解析というサイト上で示すことを修論研究のゴールにしてもよいと思います。あるいはTogo TV (Kawano et al., 2012)に使い方マニュアルを1本の動画としてアップすることをゴールにしてもよいと思います。この種のテーマで重要な点は、わからなかったときの気持ちを忘れないことです。科研費の研究課題(ウェブサイト「(Rで)塩基配列解析」の情報更新・拡充)は2021年度で終了しましたが、有意義だと思われる情報は今後もできるだけ継続的に提供し、日本全体の研究力向上に寄与し続けられればと思っています。日本乳酸菌学会誌上で2014年より連載させていただいている日本語の解説記事としてまとめるのを目標にしてもよいと思います。既出の解説記事については、(Rで)塩基配列解析のサブをご覧ください。

5. AIやデータサイエンス全般の研究開発

上記以外の流行りのテーマも自分で自由に設定してやりたいヒト向け。研究の位置づけがクリアであり、学位論文として主体的にまとめられるのであれば自由にやっていただいて構いません。私も学生時代から好き勝手にやっていました。